先日、行政の方との打ち合わせで、とても印象に残る言葉を耳にしました。
「マスクが体の一部になっている子がいるんです。」
その場には7名ほど集まっていましたが、そのうち2名の方が、
「うちの娘もそうなんです。」
と話してくださいました。
感染予防のためにマスクを着けることは、とても大切なことです。
でも、感染への不安が落ち着いた今でも、「外したいけれど外せない」と感じている人が少なくないのかもしれません。
それは子どもだけではありません。
学生、新社会人、職場で働く大人、高齢者まで、「マスクを外すタイミングがわからなくなった」「素顔を見せることに抵抗がある」と感じている方がいるように思います。
「外したくない」のではなく、「外せない」のかもしれない
「どうして外さないの?」
そう聞かれると、余計に外しづらくなることがあります。
もしかしたら、その人は自分を守るためにマスクを着けているのかもしれません。
人の視線が気になる。
笑顔に自信がない。
表情を見られることが少し怖い。
理由は一人ひとり違います。
だからこそ、「外すこと」だけに目を向けるのではなく、その背景にある気持ちにも目を向けてほしいと思うのです。
心と表情はつながっています
私は歯科衛生士として40年間、多くの方のお口や表情を見てきました。
そして、表情デザイナーとして13年間、たくさんの笑顔に出会ってきました。
その経験から実感しているのは、
笑顔は教わるものではなく、安心したときに自然と生まれるものだということです。
緊張すると口元はこわばり、表情も硬くなります。
反対に、安心すると自然に表情がやわらぎ、笑顔が生まれます。
また、口元を動かす機会が減ると、表情筋や口腔機能にも少しずつ影響が出ることがあります。
だから私は、「表情」と「口元」、そして「心」は切り離せないものだと考えています。
学校や職場でできること
私は「マスクを外しましょう」と伝えたいわけではありません。
それよりも、
「この子は何を感じているのかな?」
「この人はどんな気持ちでマスクを着けているのかな?」
そんな視点を持つ人が一人でも増えたらいいなと思っています。
学校では先生が。
家庭では保護者が。
職場では上司や同僚が。
その人の気持ちを決めつけずに受け止めることができたら、それだけで安心できる人がいるかもしれません。
笑顔は「安心」の先にある
私は現在、表情づくりや口腔機能、そしてNVC(共感コミュニケーション)の考え方を取り入れながら、一人ひとりが自分らしい笑顔を取り戻せるよう活動しています。
笑顔は、無理につくるものではありません。
安心できる環境の中で、自分を少しずつ受け入れられたとき、自然にあふれてくるものです。
もしこの記事を読んで、「そういう子がいるかもしれない」「そういう社員さんがいるかもしれない」と感じていただけたなら、とても嬉しく思います。
子どもたちも、大人も、自分らしい表情で過ごせる社会になることを願っています。

